ここ周防大島町久賀では昭和47年頃に旧久賀町民俗資料保存会が自分たちの伝統文化を後世に残したいと周防大島出身の民俗学者の宮本常一先生に相談しました。宮本先生は快くその相談に乗り、町の職人や農漁業等の生産用具、生活用具を集めることを薦めました。保存会では家々の納屋や倉で使われなくなったまま眠っている民具の収集を始めました。そして瞬くまにおよそ1万5千点を超える民具が集まりました。それらの民具を会員たちが、宮本常一先生の指導のもとで整理し、昭和49年4月に久賀歴史民俗資料館として開館しました。建物は久賀産業組合が昭和の初めに建て、すでに使われなくなっていた醤油倉を改装して利用した、文字通り久賀の町衆の手作りの資料館でした。
収集された民具の中には、町の暮らしを支えた石工、船大工、桶屋、醤油屋、傘屋、紺屋など諸職の道具が混じっており、これらは開館から5年後の昭和54年に国の重要有形民俗文化財に指定されました。現在の歴史民俗資料館は、それをきっかけに国庫補助で平成3年に新たに建設されたものです。
本館にはこうして久賀の町衆が自発的に集めて展示した藩政時代から昭和までの久賀の民衆が生きてきた歴史を語る民具資料が展示されています。
資料館はA(漁いさる)、B(暮らす)、C(耕す)、D(拓ひらく)の4展示室約500m²から構成されています。
海に囲まれた大島は、海運業や漁業が盛んで、それらの諸用具と漁師たちによって、使われた用具の展示。
古くから久賀で使われてきた様々な生活必需品・ハワイ移民関連の生活用具などの展示。
限られた条件の中で、より多くの作物を得るために、人々が知恵を絞って作り出した道具の展示。
は県指定無形民俗文化財「なむでん踊り」の解説や久賀に伝わる伝統芸能の祭りの由来やかたちについて、また人々の信仰とその対象物について解説し紹介する。